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名古屋高等裁判所 昭和25年(う)1548号 判決 1950年11月02日

被告人

中島竹三郎こと

黄龍伯

主文

原判決を破棄する。

本件を名古屋簡易裁判所に移送する。

理由

職権を以て調査するに原判決書の記載に依れば、原審は押収に係る証第一号乃至第六号の酒類及容器はいづれも之を沒収する旨言渡してあるが、原審に於て取調べた捜索差押調書及大石矯一提出の保管証、名古屋国税局提出の換価代金送付書、植村高雄提出の納付書二通の各記載に依れば、本件に於て押収せられた酒類は証第一、三、五、七、九一一、一三号であつて、而も右は既に換価せられて存在しないものであることが明認せられる。然るに原審は右の中証第一乃至第六号の酒類即ち証第一、三、五号のみを沒収する言渡を為したことは、罪体の一部のみで、而も既に存在しないものを沒収することゝなり、甚だしく常識を逸脱するものと謂はなければならない。即ち此点に於て原判決は判決に影響すべき事実誤認の違法があるから爾余の点に就き審理判断を俟たず之を破棄すべきものと認め刑事訴訟法第三百九十七条、第四百条本文後段に則り主文の通り判決する

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